勤怠不良を理由に普通解雇できる?会社が確認すべきポイント
勤怠不良について、欠勤の程度や遅刻・早退の頻度を確認しないまま普通解雇を進めると、解雇の有効性が争われ、解雇後の賃金相当額の支払い、復職対応、和解金などが問題になることがあります。
重要なのは、単に「休みが多い」という印象ではなく、出勤率・欠勤日数・遅刻・早退の頻度を確認したうえで、欠勤理由、事前連絡や届出・承認手続の有無、無断欠勤や虚偽申告の有無、注意指導後の改善状況を整理することです。
勤怠不良について、次のように感じる場面があります。
「欠勤が多く、シフトの予定が立てられない」
「遅刻や早退が続き、他の従業員がフォローしている」
「体調不良、無断欠勤など、欠勤理由の確認で対応に迷っている」
勤怠不良は、会社にとって非常に現実的な問題です。
特に中小企業では、1人の欠勤や遅刻が業務全体に影響し、他の従業員の負担や不満につながることがあります。
もっとも、勤怠不良があるからといって、直ちに普通解雇が有効になるわけではありません。
勤怠不良といっても、有給休暇、会社に連絡・申請があり欠勤扱いとして処理した休み、病気による欠勤、無断欠勤、虚偽の欠勤理由など、内容によって性質が異なります。
なお、遅刻・早退も勤怠不良として問題になりますが、この記事では主に、欠勤が続く場合の出勤率、欠勤日数、欠勤理由の整理を中心に扱います。
そのため、まずは一定期間における欠勤の程度と、遅刻・早退の頻度を確認します。
そのうえで、欠勤理由ごとに、会社としてどのような対応を検討すべきかを整理する必要があります。
勤怠不良を理由に普通解雇を検討する場合、重要なのは「休みが多い」という印象だけではありません。
欠勤の程度や遅刻・早退の頻度を確認したうえで、欠勤理由、事前連絡や届出・承認手続の有無、無断欠勤や虚偽申告の有無、注意指導後の改善状況を整理することが重要です。
このページでは、欠勤、遅刻、早退、無断欠勤などの勤怠不良を理由に普通解雇を検討する場面について整理しています。
中心になるのは、一定期間における欠勤の程度と遅刻・早退の頻度を確認したうえで、欠勤理由ごとに会社の対応をどう分岐させるかという問題です。
労働契約の終了全体を確認したい場合は、総合案内ページで整理しています。
- 勤怠不良は、まず出勤率・欠勤日数・遅刻・早退の頻度で見る
- 欠勤日数だけでなく、欠勤理由が重要になる
- 労働者に「欠勤する権利」があるわけではない
- 有給休暇と欠勤は分けて整理する
- 勤怠不良対応は、一本道ではなく「理由ごとの分岐」で考える
- 病気による欠勤は、診断書・休職制度・実際に勤務できる状態かを確認する
- 診断書等を求める根拠は、就業規則で確認しておく
- 無断欠勤・虚偽申告は、服務規律違反として重く見られやすい
- 懲戒処分は、無断欠勤・虚偽申告・ルール違反がある場合に検討する
- 欠勤の背景によっては、勤務条件や職場環境の調整を検討する
- 注意指導では、勤怠ルールと今後求める行動を明確にする
- 注意後は、一定期間の改善状況を確認する
- 中小企業では、現場への支障も具体的に整理する
- 普通解雇を検討する前に確認したいポイント
- まとめ:勤怠不良は、出勤率・欠勤理由・改善状況を分けて判断する
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- 勤怠不良による普通解雇を進める前に、欠勤理由と対応経過を整理します
勤怠不良は、まず出勤率・欠勤日数・遅刻・早退の頻度で見る
勤怠不良を理由に普通解雇を考える場合、まず確認すべきなのは、一定期間における出勤率、欠勤日数、遅刻・早退の頻度です。
欠勤が数日あるだけで直ちに普通解雇を検討するのではなく、1年間など一定期間の勤務状況を見て、どの程度勤務できていないのかを確認します。
なお、遅刻・早退も勤怠不良として問題になりますが、この記事では主に、欠勤が続く場合の出勤率、欠勤日数、欠勤理由の整理を中心に扱います。
特に、出勤率が8割を超えている場合には、普通解雇の理由としては弱くなりやすいと考えられます。
これは、年次有給休暇の付与要件として「8割以上出勤」という基準が置かれていることも関係します。
もちろん、出勤率が8割を超えているから絶対に普通解雇できないという意味ではありません。
とはいえ、会社としては、単に「休みが多い」という印象ではなく、
出勤率、欠勤日数、遅刻・早退の頻度、業務への支障を客観的に整理することが重要です。
- 【欠勤・遅刻早退の程度】一定期間で見た出勤率、欠勤日数、遅刻・早退の回数
- 【発生のパターン】欠勤や遅刻が集中している時期、当日連絡や始業後連絡の頻度
- 【業務への影響】欠勤や遅刻によって生じた業務上の支障、他の従業員のフォロー負担
欠勤や遅刻・早退が多い従業員について、人事考課で低い評価をつけている場合でも、
評価結果だけで普通解雇を判断することはできません。
重要なのは、出勤率・欠勤日数・遅刻・早退の頻度、欠勤理由、事前連絡や届出・承認手続の有無、無断欠勤や虚偽申告の有無、注意指導後の改善状況を整理することです。
欠勤日数だけでなく、欠勤理由が重要になる
勤怠不良では、欠勤日数だけでなく、なぜ欠勤したのかが重要です。
同じ「休み」でも、有給休暇として取得した休み、会社に連絡・申請があり欠勤扱いとして処理した休み、病気による欠勤、無断欠勤、虚偽の欠勤理由による欠勤では、会社としての評価が変わります。
-
権利・手続の面から慎重に扱う休み
有給休暇として取得した休み
会社に連絡・申請があり、欠勤扱いとして処理した休み -
本人が実際に勤務できる状態か確認が必要な欠勤
私傷病による欠勤
診断書のある欠勤
診断書がなく、理由があいまいな欠勤 -
服務規律・信頼関係の問題になりやすい欠勤
当日連絡が繰り返される欠勤
無断欠勤
欠勤理由に虚偽が疑われる欠勤
ただし、会社に連絡・申請があった欠勤であっても、回数や日数が多く、安定して勤務できていない場合には、「会社が欠勤扱いとして処理していたから問題にできない」とは限りません。
一定期間で見て、勤怠不良としてどの程度の支障が出ているかを整理する必要があります。
そのうえで、病気やけがが背景にある場合は、単純な勤怠不良ではなく、休職制度の適用や、本人が実際に勤務できる状態かどうかの問題として整理する必要があります。
一方で、無断欠勤が繰り返される、欠勤理由に虚偽がある、会社の連絡に応じないといった場合には、単に勤務できるかどうかの問題だけでなく、服務規律違反や企業秩序違反の問題として整理する必要があります。
勤怠不良では、欠勤日数だけでなく、欠勤理由を分けて確認することが重要です。病気による欠勤なのか、無断欠勤なのか、会社に連絡・申請があった欠勤なのかによって、会社の対応は変わります。
労働者に「欠勤する権利」があるわけではない
労働契約では、労働者は会社に労務を提供する義務を負っています。
そのため、労働者が自由に欠勤できる「欠勤権」を持っているわけではありません。
ただし、だからといって、欠勤があれば直ちに普通解雇できるわけでもありません。
有給休暇として取得した休み、病気やけがを理由とする欠勤、家庭の事情による欠勤、会社に連絡・申請があり欠勤扱いとして処理した休みなど、欠勤の背景にはさまざまな事情があります。
会社としては、まず欠勤の理由と手続を確認します。
そのうえで、欠勤が続く場合には、本人が実際に勤務できる状態なのか、休職制度の適用を検討すべき場面なのか、無断欠勤や虚偽申告などの服務規律上の問題があるのかを整理する必要があります。
有給休暇と欠勤は分けて整理する
勤怠不良を整理するときに注意したいのは、有給休暇と欠勤を混ぜて評価しないことです。
有給休暇は、労働者に認められた権利であり、取得したこと自体を勤怠不良として不利に扱うことは避ける必要があります。
たとえば、「休みが多い」と感じる場合でも、その中に有給休暇として取得した日が含まれているのであれば、無断欠勤や欠勤扱いの日数とは分けて確認します。
勤怠不良として問題にする場合は、どの日を、どのような理由で問題にしているのかを整理することが重要です。
なお、有給休暇の申請方法や取得時期をめぐって、会社側で業務調整が必要になることはあります。
ただし、この場合も、有給休暇を取得したこと自体を欠勤や無断欠勤と同じように評価しないよう注意が必要です。
有給休暇と欠勤は、勤怠不良の評価では分けて整理します。
「休みが多い」という印象だけでまとめるのではなく、有給休暇として取得した日、会社に連絡・申請があった欠勤、無断欠勤を分けて確認することが重要です。
勤怠不良対応は、一本道ではなく「理由ごとの分岐」で考える
勤怠不良が続く場合、会社としては、まず欠勤の程度や、遅刻・早退の頻度を確認します。
ただし、そのまま注意指導や普通解雇へ進むのではなく、欠勤理由ごとに、会社が確認すべき内容や対応を分けて整理する必要があります。
病気や体調不良が背景にある場合、無断欠勤や虚偽申告がある場合、有給休暇や会社が承認した欠勤が含まれる場合では、会社が取るべき対応は変わります。
そのため、勤怠不良対応では、基本的な対応の流れを確認しつつ、欠勤理由ごとの分岐を意識することが重要です。
勤怠不良を把握する
欠勤、遅刻、早退、無断欠勤などの具体的な状況を確認します。
欠勤の程度と遅刻・早退の頻度を見る
一定期間で、どの程度安定した勤務ができていないのかを客観的に整理します。
欠勤理由を確認する
病気、会社に連絡・申請があった欠勤、無断欠勤、虚偽申告など、欠勤の理由を分けて確認します。
病気・体調不良の場合
診断書、休職制度、本人が実際に勤務できる状態かどうかを確認します。
無断欠勤・虚偽申告の場合
注意指導、厳重注意、懲戒処分など、服務規律違反としての対応を検討します。
有給休暇・承認欠勤の場合
休み自体を直ちに問題にするのではなく、有給休暇として取得した日、会社に連絡・申請があった欠勤、無断欠勤を分けて確認します。
回数や日数が多い場合は、別途、勤怠不良として整理します。
注意指導・段階的対応・改善確認を行う
注意、書面注意、厳重注意などを通じて改善を求め、一定期間の改善状況を確認します。無断欠勤や虚偽申告などがある場合には、懲戒処分も検討します。
それでも改善しない場合に普通解雇等を検討する
普通解雇、退職勧奨、合意退職など、労働契約終了の方法を検討します。
このように、勤怠不良対応では、まず欠勤の程度や遅刻・早退の頻度を確認し、そのうえで欠勤理由ごとに必要な対応を分けて考えます。
病気欠勤であれば診断書や休職制度、無断欠勤や虚偽申告であれば服務規律違反や懲戒処分、有給休暇や承認欠勤であれば問題にできる休みとそうでない休みを分けて整理する必要があります。
そのため、勤怠不良は「休みが多い」という一つの問題としてではなく、
欠勤の程度や遅刻・早退の頻度を確認したうえで、欠勤理由ごとに対応を分岐させて整理すること
が重要です。
病気による欠勤は、診断書・休職制度・実際に勤務できる状態かを確認する
欠勤理由が体調不良や私傷病である場合、会社としては、本人の申告だけで判断するのではなく、必要に応じて診断書の提出を求めることがあります。
特に、欠勤が続いている場合や、欠勤理由があいまいな場合には、単に「休みが多い」と整理するのではなく、本人が実際に勤務できる状態なのかを確認する必要があります。
また、病気やけがによって一定期間勤務できない状態が続く場合には、注意指導だけで処理するのではなく、休職制度の適用を検討すべき場面なのかも確認します。
休職制度がある会社では、就業規則上の要件、休職期間、診断書の扱い、休職中の連絡方法などを確認しておくことが重要です。
ただし、主治医の診断書だけで会社の労務管理上の判断を完結させることは避けるべきです。
主治医の診断書は、本人の申告や希望を前提に作成されることもあります。
会社としては、業務内容、勤務時間、職場環境、通勤状況なども踏まえて、実際に勤務できる状態かどうかを確認します。
-
欠勤理由を確認する
欠勤理由が病気やけがによるものか -
診断書・休職制度を確認する
診断書の提出を求めたか
診断書に休養期間や勤務上の制限が記載されているか
休職制度の適用対象となるか -
実際に勤務できる状態か確認する
本人が実際に勤務できる状態かどうか
勤務時間、業務内容、担当業務の調整で勤務できる可能性があるか
会社規模や人員体制から見て、担当業務の変更や他部署・他店舗への異動を検討できるか
病気による欠勤では、欠勤日数だけを見て普通解雇へ進めるのではなく、診断書、休職制度、本人が実際に勤務できる状態かどうかを順番に確認することが重要です。
診断書等を求める根拠は、就業規則で確認しておく
病気や体調不良による欠勤が続く場合、会社としては、本人の申告だけで判断するのではなく、診断書等の提出を求めて確認する場面があります。
就業規則に明確な定めがないからといって、会社が診断書等の提出を一切求められないわけではありません。
もっとも、就業規則に定めがあることで、会社がどのような場面で、何のために診断書等の提出を求めるのかを説明しやすくなります。
「遅刻、早退および欠勤の状況により会社が必要と認めるときは、従業員に対して、医師の診断書その他会社が必要と認める資料の提出を求めることがある」
ただし、就業規則に定めがあるからといって、理由なく診断書等を求めてよいわけではありません。
勤怠状況、体調不良の申告、業務への支障、安全配慮上の必要性などを踏まえ、なぜ診断書等による確認が必要なのかを整理しておくことが重要です。
無断欠勤・虚偽申告は、服務規律違反として重く見られやすい
勤怠不良の中でも、無断欠勤や虚偽申告は、単なる欠勤とは性質が異なります。
病気で休んだ、家庭の事情で休んだという場合でも、会社に連絡し、必要な手続を踏んでいるのであれば、会社としてはその理由や対応を確認することになります。
しかし、無断欠勤が続く場合、会社からの連絡に応じない場合、病気と申告していたが実際には別の理由で休んでいた場合などは、労務提供の問題だけでなく、信頼関係や服務規律の問題になります。
- 欠勤の日時
- 欠勤連絡の有無
- 会社からの連絡に応じたか
- 欠勤理由として何を説明したか
- その説明に虚偽があると判断できる根拠
- 会社が注意指導した経過
- 同じ問題が繰り返されたか
このような場合には、普通解雇だけでなく、懲戒処分や懲戒解雇の検討対象となることもあります。
ただし、無断欠勤や虚偽申告がある場合でも、直ちに重い処分へ進むのではなく、事実関係、就業規則上の根拠、本人の言い分、これまでの注意指導の経過を整理する必要があります。
懲戒処分は、無断欠勤・虚偽申告・ルール違反がある場合に検討する
勤怠不良がある場合でも、すべての欠勤に対して懲戒処分を検討するわけではありません。
病気による欠勤、会社が承認した欠勤、有給休暇の取得に対して、安易に懲戒処分を行うことは避ける必要があります。
一方で、無断欠勤、虚偽申告、連絡義務違反、診断書提出の指示に応じない、出勤命令や面談指示に応じないといった場合には、服務規律違反や企業秩序違反として、懲戒処分を検討する場面があります。
この場合でも、懲戒処分は、普通解雇へ進むための形式的な手続ではありません。
会社が何を問題としているのかを本人に伝え、勤怠ルールや会社の指示を守るよう改善を促すプロセスとして整理することが重要です。
- 就業規則上の懲戒事由や処分内容の根拠を確認しているか
- どの欠勤について、無断欠勤・虚偽申告・連絡義務違反が問題になるのかを確認しているか
- 会社が連絡方法・提出書類・提出期限を具体的に伝えたうえで、指示違反と評価できるか
- 本人の言い分を確認したか
- 処分内容が重すぎないか
- 処分後に改善状況を確認したか
- 処分後も同じ問題が繰り返されたか
懲戒処分は、勤怠不良そのものではなく、無断欠勤・虚偽申告・連絡義務違反などの服務規律違反がある場合に検討します。
病気欠勤や承認欠勤と、ルール違反を伴う欠勤を分けて整理することが重要です。
欠勤の背景によっては、勤務条件や職場環境の調整を検討する
勤怠不良の場合、配置転換や勤務条件の調整が常に中心的な対応になるわけではありません。
問題の本質が、単に「休みが多い」という点にあるのか、それとも特定の業務・人間関係・勤務時間などにあるのかを分けて確認する必要があります。
欠勤理由が病気やけがによる場合には、診断書、休職制度、勤務可能性を確認することになります。
一方で、欠勤の背景が、特定の担当業務、上司や同僚との関係、報告・連絡の行き違い、勤務時間、通勤負担などにある場合には、働き方や職場環境を調整することで勤務を続けられる余地がないかを確認することがあります。
-
欠勤の背景がどこにあるか
病気・けが、家庭事情、通勤負担、特定の担当業務、特定の上司・同僚との関係、報告・連絡の行き違いなど -
調整で改善できる問題か
勤務時間の調整、担当業務の見直し、連絡方法や報告ルールの明確化、面談方法の変更などで改善の余地があるか -
会社として現実に対応できる範囲か
会社規模、人員体制、代替業務、配置転換先、他の従業員への負担を踏まえて、どこまで調整できるか
ただし、配置転換や勤務条件の調整を検討したからといって、必ず実施しなければならないわけではありません。
特に小規模企業では、配転先や代替業務が限られていることもあります。
重要なのは、会社規模や人員体制を踏まえて、現実に検討できる対応を確認し、それでも安定して勤務することが難しいといえるのかを整理することです。
勤務条件や職場環境の調整は、勤怠不良対応の必須ルートではありません。
ただし、欠勤の背景に業務・人間関係・勤務時間などの調整可能な事情がある場合は、勤務を続けられる余地を確認するために検討対象になります。
注意指導では、勤怠ルールと今後求める行動を明確にする
勤怠不良への注意指導では、単に「もっとちゃんと出勤してください」と伝えるだけでは足りません。
会社としては、どの行動を問題にしているのか、今後どのように連絡してほしいのか、欠勤する場合にどのような連絡・手続を求めるのかを具体的に伝える必要があります。
「最近、休みが多いです。もっと真面目に出勤してください。」
このような伝え方では、本人に何を改めてほしいのかが伝わりにくくなります。
また、本人が病気や家庭の事情を抱えている場合、会社側が事情を確認しないまま責めているように受け止められることもあります。
【事実】
「〇月〇日、〇月〇日、〇月〇日に、始業時刻後に欠勤連絡がありました。」
【業務上の支障】
「その結果、当日の人員配置を変更する必要があり、他の従業員が急きょ対応しました。」
【会社として問題にしている点】
「会社としては、始業時刻後の欠勤連絡が繰り返され、当日の業務体制に支障が出ていることを問題としています。」
【今後求める行動】
「今後、体調不良などで出勤できない場合は、始業時刻前までに直属の上司へ連絡してください。
また、同様の欠勤が続く場合には、診断書の提出を求めることがあります。」
このように、勤怠不良への注意指導では、本人を責めることよりも、
問題となる事実、業務上の支障、会社として求める行動を分けて伝えること
が重要です。
注意後は、一定期間の改善状況を確認する
勤怠不良を理由に普通解雇を検討する場合、注意指導をしただけで終わらせるのではなく、その後の勤務状況を確認する必要があります。
注意後に欠勤や遅刻が改善したのか、欠勤連絡の方法が改善したのか、診断書など必要な資料を提出したのか、無断欠勤がなくなったのかを確認します。
- 欠勤が減ったか
- 遅刻や早退が改善したか
- 欠勤連絡の方法が改善したか
- 診断書など必要な資料を提出したか
- 無断欠勤がなくなったか
- 会社の具体的な指示に従ったか
- 同じ問題が繰り返されたか
注意指導後も同じ勤怠不良が続く場合には、会社として改善機会を与えても改善されなかった事情として整理できます。
「注意した」という事実だけでは足りません。注意後に勤怠状況がどう変わったのか、同じ問題が繰り返されたのかまで確認することが重要です。
中小企業では、現場への支障も具体的に整理する
中小企業では、1人の欠勤や遅刻が現場に与える影響が大きくなります。
少人数で業務を回している会社では、急な欠勤があると、他の従業員が残業したり、社長や管理職が代わりに対応したり、取引先対応に支障が出たりすることがあります。
特に小規模な職場では、1人の欠勤や遅刻が、単なる人数不足にとどまらず、その日の業務体制、納期、取引先対応、他の従業員の負担に直結することがあります。
大企業のように代替要員や配置転換先をすぐに用意できるとは限らないため、1回ごとの欠勤や遅刻が現場に与えた影響も具体的に確認する必要があります。
ただし、「中小企業だから解雇しやすい」ということではありません。
普通解雇の有効性が争われた場合にも、単に「人手が足りなかった」「現場が困った」という説明だけでは足りないため、誰が代わりに対応したのか、どの業務が遅れたのか、取引先対応や他の従業員の負担にどのような影響が出たのかを整理しておくことが重要です。
- 代替要員がいるか
- 欠勤時に誰がフォローしているか
- 他の従業員に残業や負担が発生しているか
- 業務の遅延や取引先対応への影響があるか
- 欠勤が予測できず、シフトや業務計画が立てにくいか
- 注意指導後も同じ状況が続いているか
普通解雇を検討する前に確認したいポイント
勤怠不良を理由に普通解雇を検討する場合は、感情的に「もう無理」と判断するのではなく、
出勤率、欠勤理由、業務への支障、会社として行った対応を順番に整理する必要があります。
欠勤日数、遅刻・早退の回数を整理しているか
1年間など一定期間で出勤率を確認しているか
欠勤理由を確認しているか
有給休暇、承認欠勤、無断欠勤を分けて整理しているか
病気欠勤の場合、診断書等で勤務可能性を確認しているか
休職制度の適用対象となるかを確認したか
欠勤の背景に応じて、勤務条件や職場環境の調整を検討すべき事情があるか
無断欠勤や虚偽申告がある場合、そう判断できる根拠を整理しているか
懲戒処分を検討する場合、就業規則上の根拠、処分の重さ、処分後の改善状況を整理しているか
欠勤や遅刻・早退による業務上の支障を記録しているか
本人に勤怠ルールと今後求める行動を具体的に伝えたか
注意指導後の改善状況を一定期間確認したか
会社規模や人員体制から見て、それでも雇用継続が難しいと説明できるか
これらを整理しておくことで、会社として何を問題と考え、どのような改善を求め、
それでも雇用継続が難しいと判断したのかを説明しやすくなります。
まとめ:勤怠不良は、出勤率・欠勤理由・改善状況を分けて判断する
勤怠不良があっても、それだけで直ちに普通解雇が有効になるとは限りません。
まずは、欠勤日数、遅刻・早退の回数、出勤率などを客観的に確認します。
1. 勤怠不良は、まず数字で確認します。
欠勤日数、遅刻・早退の回数、一定期間の出勤率を確認し、どの程度安定して勤務できていないのかを整理します。
2. 欠勤理由を分けて確認します。
有給休暇、承認欠勤、病気欠勤、無断欠勤、虚偽申告などを分けて整理し、同じ「休み」として一括りにしないことが重要です。
3. 病気欠勤は、診断書・休職制度・勤務可能性の問題として整理します。
体調不良が背景にある場合は、単なる勤怠不良ではなく、診断書の内容、休職制度の適用、本人が実際に勤務できる状態かどうか、勤務条件の調整を確認する必要があります。
4. 無断欠勤や虚偽申告は、服務規律違反として整理します。
欠勤連絡のルール違反、無断欠勤、虚偽の欠勤理由がある場合には、注意指導や懲戒処分を検討する場面があります。
5. 欠勤の背景によっては、勤務条件や職場環境の調整を検討します。
勤怠不良対応の必須ルートではありませんが、業務負荷、勤務時間、人間関係、報告・連絡の行き違いなどが欠勤に影響している場合には、勤務を続けられる余地を確認するために検討することがあります。
6. 最後は、改善機会を与えても雇用継続が難しいと説明できるかを確認します。
注意指導、診断書提出の求め、休職制度の確認、懲戒処分後の経過、業務への支障を踏まえて、普通解雇を検討する必要があります。
勤怠不良による普通解雇では、抽象的に「休みが多い」とまとめるのではなく、
出勤率・欠勤日数、欠勤理由、事前連絡や届出・承認手続の有無、診断書等の確認、業務への支障、注意指導後の改善状況を積み重ねて整理することが重要です。
勤怠不良による普通解雇を進める前に、欠勤理由と対応経過を整理します
勤怠不良は、現場では「もう限界」と感じやすい問題です。
しかし、後から解雇の有効性を争われた場合には、会社側がどのような勤怠不良を問題とし、欠勤理由や欠勤の背景をどこまで確認し、どのように注意指導や改善機会を積み重ねたのかが問われます。
欠勤日数、出勤率、欠勤理由、診断書等の確認、無断欠勤や虚偽申告の有無、業務への支障、勤務条件や職場環境の調整可能性、注意指導後の改善状況などを整理したうえで、
普通解雇を進めるべきか、休職対応・懲戒処分・退職勧奨など別の対応を検討すべきかを確認することが重要です。
田中社会保険労務士・行政書士事務所では、解雇ありきではなく、
勤怠不良による業務支障と会社側の対応経過を整理し、
経営者が次の一手を判断できるよう実務面からサポートしています。
